ディネ

ディネ」(英語: Dene)とは、ナ・ディネ語族南北アサバスカ語族を話す先住民族の自称である。「北部アサバスカ諸語英語版」(カナダインディアン部族)の「ヘアー・インディアン(hare indan)」及び「アラスカとカナダのディネ(先住するインディアン諸部族)」と、「南部アサバスカ諸語英語版」(アメリカのインディアン部族)の「ナバホ族Diné, Navajo)」及び「アパッチ族Indé, Apache)」のことを指している。

言語[編集]

「ディネ」のうち、ヘアー・インディアンの言語は、北西カナダの言語グループの「ナ・ディネ語族」に属する「北部アサバスカ諸語英語版」である。アメリカのナバホ族とアパッチ族の言語は、「南部アサバスカ諸語英語版」である。

ヘアー・インディアン[編集]

「ヘアー・インディアン」(Dene)は、カナダの北西部の極北地帯から南西部にかけて先住するアサバスカ諸語を話す狩猟民である。カナダでは、インディアン民族はファースト・ネイションと呼ばれる自治共同体を形成しており、ヘアー・インディアンもこのひとつである。「ディネ」は、「流れと大地」を意味する。

この民族については、文化人類学者の原ひろ子が詳細な調査報告を発表しており[1]、日本では比較的知られている。

伝統文化[編集]

多数のバンド(集団)に分かれ、ティピーによる平原での狩猟を生業としており、領域にヘラジカなど大型の獲物が少ないことから、ことにカンジキウサギ(ヘアー)を主食としている。冬季には慢性的な飢餓に苦しめられ、人肉食の記録も数多く残されている。エスキモーに似た風俗で、「ヘア・インディアン・ドッグ」という独自犬種を犬ぞりに使役する。カナダ政府の同化政策によって、伝統的な生活は消滅しつつある[1]

支族[編集]

デーチョ川(マッケンジー川)北西域のスレイビー族の少女

ヘアー・インディアンは5つの氏族で構成されている。「チネ」、「チンネ」、「ティネ」はすべて「ディネ」の変形名。

グレートスレーブ湖畔に先住する。アメリカ・インディアンのチッペワ族とは無関係。
グレートスレーブ湖グレートベア湖の中間に先住する。
グレートスレーブ湖の北に先住する。現在はチペワン族傘下に入っている。
デーチョ川(マッケンジー川)からグレートスレーブ湖畔南西に先住。
グレートベア湖畔に先住。

アラスカとカナダのディネ[編集]

ツー・ツィナ族の保留地
伝統衣装をまとったツー・ツィナ族の子供
ビーバー・ピープルの「冬のビーバー・ティピー」(1899年)
カナダとアメリカに先住するブラックフット族のひとつ。「サーシー族」。
「キャリアー・インディアン」とも呼ばれる、ブリティッシュ・コロンビアのインディアン部族。
ブリティッシュ・コロンビアのインディアン部族。
ブリティッシュ・コロンビアのインディアン部族。「ダネザア族」、「ビーバー・ピープル」に属する。
ブリティッシュ・コロンビアのインディアン部族。
アラスカ・カナダ西海岸のインディアン部族。
アラスカ・カナダ西海岸のインディアン部族。

その他

ナバホ族[編集]

アパッチ族[編集]

遺伝子[編集]

ディネにはアメリカ先住民に広く高頻度のハプログループQ (Y染色体)に加え、ハプログループC2 (Y染色体)も最大42%みられる[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b 原ひろ子著『ヘアー・インディアンとその世界』、平凡社
  2. ^ Zegura, Stephen L. et al 2004, High-Resolution SNPs and Microsatellite Haplotypes Point to a Single, Recent Entry of Native American Y Chromosomes into the Americas

関連項目[編集]

外部リンク[編集]