ダイレクト三々

ダイレクト三々(ダイレクトさんさん)は、囲碁における手法のひとつ。序盤早々、周囲にまだ石がない段階で、相手のに対して直接に三々に打ち込んでいく手段を指す[1]。かつては全く考えられていなかった戦法だが、AlphaGoなどの人工知能がこの手を打つことから注目され、人間の棋士の間でも広く採用されるようになった。ダイレクト三々の名称は、2018年5月から河野臨によって週刊碁の連載のタイトルに使われ、定着した[2]

概要[編集]

かつては、星に対する三々入りは、相手に強い厚みを与えることから、慎重にタイミングをはかって打つべき手段とされていた[3]。たとえば星から両辺にヒラキが打たれ、他の手段では侵入しにくい場合に、隅のを荒らす手法として打たれていた。下図では、黒1と星から両翼へ展開した瞬間、白2(通算22手目)と三々打ち込みがなされている。以下、黒13までと運ぶのが定石とされてきた。

武宮正樹(黒)-羽根直樹戦、1998年)

しかし、囲碁対戦人工知能であるAlphaGoは、人間のトップ棋士を相手に、序盤数手目という極めて早い段階で星への三々入りを打って勝利を収めた。このため、この手法が非常に有力なものとして注目を受けることとなり、「ダイレクト三々」と呼ばれるようになった。たとえば下図では、序盤6手目に三々入りが打たれている(白△)。

古来からの定石に従って対応すると、黒7の後白はa~dまでのハネツギを保留し、辺へ白10と割ってくる。白12までとなると、後に白eノゾキを利かして白gとトバれたりすれば、黒全体が攻められかねない状況となる。このように、地を取った上に相手を攻めようという発想は、それまでに全くないものであった[4]

こうしたことから、ダイレクト三々に対抗するための様々な手段が検討されるようになった。

対応策[編集]

二段バネ[編集]