ダイアン・ファインスタイン

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国の政治家
ダイアン・ファインスタイン
Dianne Feinstein
生年月日 (1933-06-22) 1933年6月22日
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州サンフランシスコ
没年月日 (2023-09-29) 2023年9月29日(90歳没)
死没地 ワシントン
出身校 スタンフォード大学
所属政党 民主党
称号 文学士
配偶者 ジャック・バーマン(1956年 - 1959年離婚)
バートラム・ファインスタイン(1962年 - 1978年死別)
リチャード・C・ブラム(1980年 - 2022年死別)
公式サイト United States Senator Dianne Feinstein California

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
上院議員
選挙区 カリフォルニア州
在任期間 1992年11月10日 - 2023年9月29日

在任期間 1978年12月4日 - 1988年1月8日
州知事 ジェリー・ブラウン
ジョージ・デューク・メジアン
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ダイアン・ゴールドマン・バーマン・ファインスタインDianne Goldman Berman Feinstein, 1933年6月22日 - 2023年9月29日)は、カリフォルニア州サンフランシスコ出身のアメリカ合衆国政治家連邦上院議員(カリフォルニア州選出)。所属政党は民主党で、宗教的にはユダヤ教の信徒である。ユダヤ系女性として、1992年にバーバラ・ボクサー英語版(民主党)とともに初めて連邦上院議員に選出された。

1978年から1988年までサンフランシスコ市長を務めた後、1992年に連邦上院議員に当選・就任し、死去まで務めた。ファインスタインは、アメリカ政界の歴史にいくつもの「初」を残している女性政治家であり、サンフランシスコ管理委員会議長、サンフランシスコ市長、カリフォルニア選出連邦上院議員を女性として初めて務めたほか、連邦議会上院では議事規則議院運営委員会、情報特別委員会の2つの委員会で女性初の委員長を務めている。また、2009年の大統領就任式両院合同委員長であり、委員長として司会進行役も務めた。

経歴[編集]

左からエリザベス・ウォーレン、ファインスタイン、カマラ・ハリス、エド・マーキー(2018年11月14日)

1933年6月22日、カリフォルニア州サンフランシスコにて、レオン・ゴールドマン(Leon Goldman)と、ベティ・ゴールドマン(旧姓:ローゼンバーグ)夫妻の間に、ダイアン・エミエル・ゴールドマン(Dianne Emiel Goldman)として生まれる。

父のレオンは、ポーランドユダヤ人移民の家庭に11人兄弟の1人として生まれた人物で、カリフォルニア州立大学医療センターに外科医(教授)として所属し、全国的な名声を得ていた[1]。また母のベティは、ロシア革命勃発時にサンクトペテルブルクより移民してきた家庭に生まれた人物で[2]、かつてはモデルとして活動していた[1]。ちなみにファインスタインの証言によれば、母方の「ローゼンバーグ」という姓は、ドイツ系の起源を持つ姓であるという[3]

サンフランシスコにあるローマ・カトリック系の私立高校である“セイクリッド・ハート高校”を卒業後、1951年スタンフォード大学に進学し、1955年歴史学学士号を得て卒業する。大学卒業後は地元サンフランシスコの地方検事局に就職し[4]、翌1956年には郡検事局での同僚だったジャック・バーマン(Jack Berman)と結婚する。 バーマンとの間には1女(キャサリン)をもうけたが、3年後に離婚した。1978年11月にサンフランシスコのジョージ・モスコーニ市長とハーヴェイ・ミルク市政委員がダン・ホワイト市政委員によって殺害されると、市の規定により市政委員長だったファインスタインが市長代理に就任。一週間後には市政委員の投票により正式に市長に就任。サンフランシスコで初の女性市長だった[5]。1990年にサンフランシスコ市長だったダイアンはカリフォルニア州知事選挙中に民主党の指名を獲得したものの、共和党の上院議員に総選挙で上院から立候補していたピート・ウィルソンに敗北した。1992年にダイアンはそのキャンペーンに関連したキャンペーンの支出を適切に報告しなかったために190,000ドルの罰金を科されている[6]。1999年、1931年9月から48年12月までに日本による「人種・宗教・国籍・政治的見解」による迫害についての当時のアメリカ国内の調査内容を公表するための法案をアメリカ上院に提出し、2000年5月18日にファインステイン法として可決させた。2016年9月にはファインシュタインはバラク・オバマ政権のサウジアラビアに11億ドル以上の武器を売却する計画を支持した[7]。 2018年8月にファインスタインが約20年間雇っていた中国系アメリカ人であるスタッフ(ラッセル・ロウ, Russell Lowe)が中国の情報機関である中華人民共和国国家安全部に協力する工作員であることが明らかとなった[8][9]。ファインスタインは彼が中国のスパイである事にずっと気付かず、2013年にFBIから指摘された後に解雇したとしている[10][11]。ラッセル・ロウはファインスタイン議員補佐官として、あるいはファインスタインの事務所から解雇された後も社会正義教育財団の事務局長として慰安婦問題で日本を非難する様々な活動をしてきた事が明らかになっている[12][13][14]

2021年11月に上院仮議長パトリック・リーヒが2022年の改選に出馬しないことを表明したため、もし2023年からの新議会で民主党が多数党となった場合、民主党会派内の先任順がリーヒの次位であるファインスタインが慣例上仮議長になることとなったが、ファインスタインは仮議長を辞退することを表明した。そのため、2023年からの新議会では、多数党となった民主党会派内で先任順がファインスタインの次位にあるパティ・マレーが、女性初の仮議長に選出された。

2020年頃より、加齢によるファインスタインの認知能力の衰えが指摘されており[15]、2023年2月にファインスタインは翌2024年の改選に出馬しないことを表明した[16]

2023年9月29日午前2時頃[17]ワシントンの自宅で死去。90歳没[18][19]

論争[編集]

2007年、政府契約や中国貿易で彼女の夫であるリチャード・ブラムが妻の上院議員という身分を悪用していた疑いで査察を受けていることが報道された[20]。ファインシュタイン氏は2009年に夫の会社に業界基準よりも高い報酬率で抵当権付きの不動産を売却する契約を授与した翌日に連邦預金保険公社に250億ドルを請求する法案を提出した際に批判された[21]。ファインスタイン夫妻は世界最大の商業用不動産会社とアメリカ郵政公社の間の疑わしい取引に関わっていたと報道された[22] 。夫の会社に数十億ドルの軍事契約を授与していることから、上院議員の立場を乱用していると非難されている[23][24]

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b ロバート・スレイター(Robert Slater)著“Great Jewish women”からの抜粋 (英語) Google ブックスでの検索結果より。内容を詳しくは閲覧できないが、78ページに記述があることが解る。
  2. ^ また、ローゼンバーグ家はロシア正教を信仰していた。
  3. ^ “California”第9巻(Volume 9)からの抜粋 (英語) Google ブックスでの検索結果より。内容を詳しくは閲覧できないが、59ページに記述があることが解る。原典は、“California”第9巻(Volume 9)(New West Communications Corp., 1984)。
  4. ^ サンフランシスコ郡の検事局であり、連邦地区検事局ではない。ただし、サンフランシスコは英語の名称“City and County of San Francisco”からも解るように、郡と市が一体となっている。
  5. ^ ランディ・シルツ(藤井留美・訳)『ゲイの市長と呼ばれた男 下巻』、p.160、草思社、1995年
  6. ^ Enforcement Cases: F”. California Fair Political Practices Commission. 2007年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月29日閲覧。
  7. ^ "Roll Call Votes 114th Congress - 2nd Session (2016) – 145 (71-27)". United States Senate.
  8. ^ Details Surface About Chinese Spy Who Worked For Sen. Feinstein”. CBS SF BayArea. 2018年8月4日閲覧。
  9. ^ 米上院議員の重鎮、補佐官は中国スパイ 江沢民氏と深い繋がり”. Reuters. 2018年8月19日閲覧。
  10. ^ Feinstein had a Chinese spy connection she didn’t know about — her driver”. San Francisco Chronicle. 2018年8月4日閲覧。
  11. ^ Opinions: Explain the Chinese spy, Sen. Feinstein”. Washington Post. 2018年8月19日閲覧。
  12. ^ サンフランシスコの慰安婦記念碑が設立された理由”. WEBRONZA(朝日新聞). 2018年8月19日閲覧。
  13. ^ 中国スパイと断じられた米上院議員の補佐官 慰安婦問題糾弾でも先鋒”. 産経新聞. 2018年8月14日閲覧。
  14. ^ 米国で日本叩き運動を先導、中国のスパイだった”. Japan Business Press. 2018年8月19日閲覧。
  15. ^ Dianne Feinstein’s Missteps Raise a Painful Age Question Among Senate Democrats The New Yorker(2020年12月9日)
  16. ^ Feinstein passes on Senate reelection in 2024 POLITICO(2023年2月14日)
  17. ^ Dianne Feinstein's final day in the Senate” (英語). Los Angeles Times (2023年9月29日). 2023年9月30日閲覧。
  18. ^ Karni, Annie (2023年9月29日). “Senator Dianne Feinstein Dies at 90” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2023/09/29/us/politics/dianne-feinstein-dead-senate.html 2023年9月29日閲覧。 
  19. ^ “D・ファインスタイン氏死去 米民主党上院議員、90歳”. 共同通信. (2023年9月30日). https://nordot.app/1080516557291995222 2023年9月30日閲覧。 
  20. ^ Paddock, Richard C. (March 27, 2007) "Feinstein's husband steps out of her shadow". Los Angeles Times
  21. ^ “EXCLUSIVE: Senator’s husband’s firm cashes in on crisis”. The Washington Times. (2009年4月21日). http://www.washingtontimes.com/news/2009/apr/21/senate-husbands-firm-cashes-in-on-crisis/?page=all 
  22. ^ Dianne Feinstein's Husband Tied To Questionable Dealings With U.S. Postal Service, Book Says”. The Huffington Post. 2017年10月29日閲覧。
  23. ^ Violations Force Feinstein Military Committee Resignation”. Judicial Watch. 2016年4月10日閲覧。
  24. ^ News & Culture in CA – Dianne Feinstein: A Question of Ethics”. metroactive.com. 2016年4月10日閲覧。
公職
先代
ジョージ・モスコーニ
サンフランシスコ市長
第38代:1978年12月4日 - 1988年1月8日
次代
アート・アグノス
議会
先代
ジョン・F・シーモア
カリフォルニア州選出上院議員(第1部)
1992年11月10日 - 2023年9月29日
次代
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