セミプロフェッショナルスポーツ

セミプロフェッショナルスポーツ英語: semi-professional sports、略称:セミプロ)とは、スポーツを行う際に給与をもらっておりアマチュアというわけではないが、完全にプロフェッショナルとしてスポーツを行なっているわけではないスポーツ選手を指す用語である。セミプロとしてプレーを行なっている理由としては、プロスポーツの興行として行うには実力もしくは人気が低く、プロフェッショナルとして活動することが難しいことなどが一般的な理由として挙げられる。

また、セミプロという用語は写真家ミュージシャンなど芸術芸能活動で収入を得てはいるが、それだけは生活には充分でないためアルバイトパートタイム労働などによる副業で生計を立てている者にも適用されることがある。製品の質やコストがアマチュアとプロフェッショナルの間に該当するような製品を製作している者にも使用されることがあるが、現代ではセミプロではなく、生産消費者(プロシューマー)という用語を使用することが多い。

語源[編集]

アメリカ合衆国サンフランシスコ・オリンピック・クラブ英語版アメリカンフットボールチームを1890年に設立した[1]。同年、オリンピック・クラブは優秀な選手を勧誘するため、仕事のオファーを出しているとしてライバルクラブから非難を受けた。アマチュア運動連合の調査によると、オリンピック・クラブの勧誘は実際にはプロ選手として契約を行うものではなく、プロ選手に「準じる(semi)」形で契約を行うというだけのものであるとされた。ここから「セミプロ」という用語が生まれた。アマチュア運動連合はセミプロという概念をあまり好ましく思っていなかったが、この決定により選手がアマチュアという地位を失ったり信用を落とすことなく、スポーツクラブが実際に選手を雇用できることになった[2]

比喩表現として[編集]

日本における高等学校のスポーツ(特に高校野球高校サッカー高校駅伝、特に私立学校)において、学校教育におけるスポーツ活動の枠を超えて「選手を全国から募集する」「(高校駅伝で特に顕著な)留学生を募集する」「プロチーム並みに部員寮を保有する」「授業よりも練習メイン」という学校を本来の課外活動を超越しているとして批判的に「セミプロ集団」と言われることがある[3]。高校野球だけでなく吹奏楽部といった文科系の部活動でも同様に「セミプロ」と称される学校が存在する。

関連項目[編集]

アメリカ合衆国では4大国技=野球、アメリカンフットボールバスケットボールアイスホッケーにおいて、セミプロ選手による下部リーグがある。
日本でも四国アイランドリーグplusベースボール・チャレンジ・リーグなどの独立系セミプロ野球リーグがある。
日本では日本プロサッカーリーグ(Jリーグ。主にJ3リーグ)や日本フットボールリーグ、その他、VリーグジャパンラグビーリーグワンS/Jリーグ社会人野球などのように、選手らが企業と正社員、または契約社員などの形で雇用を結び、会社の業務をこなしつつ競技に専念し、(社会人野球など一部を除き)勝利給などのギャランティーをもらうリーグ・チームが多くある。

脚注[編集]

  1. ^ PFRA Research (1987). “When Did they Start?”. Coffin Corner (Professional Football Researchers Association) 9: 1-5. オリジナルの2010年11月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101127043928/http://profootballresearchers.org/Coffin_Corner/09-06-304.pdf. 
  2. ^ PFRA Research. “Five Hundred Reasons”. Coffin Corner (Professional Football Researchers Association): 1-6. オリジナルの2010年9月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100929084951/http://profootballresearchers.org/Articles/Five_Hundred_Reasons.pdf. 
  3. ^ 谷口源太郎 (2020年5月23日). “夏の甲子園中止で浮き彫りに 高野連の虚飾と責任逃れと嘘”. 日刊ゲンダイDIGITAL. https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/273515 2021年4月26日閲覧。 
  4. ^ 7部リーグ相当のクラブでプロ契約も! 日本でセミプロクラブやセミプロ選手が増えた背景とは(Victory)