ジェット (曲)

ジェット
ポール・マッカートニー&ウイングスシングル
初出アルバム『バンド・オン・ザ・ラン
B面 レット・ミー・ロール・イット
リリース
規格 7インチレコード
録音 1973年 (1973)
ジャンル ロック
時間
レーベル アップル・レコード
作詞・作曲 ポール・マッカートニー
リンダ・マッカートニー
プロデュース ポール・マッカートニー
ゴールドディスク
1974年4月1日 BPI(UK)ゴールド
チャート最高順位
  • 7位(イギリス)
  • 7位(アメリカ)
  • 1位(日本)
ポール・マッカートニー&ウイングス シングル 年表
愛しのヘレン
(1973年)
ジェット
(1974年)
バンド・オン・ザ・ラン
(1974年)
テンプレートを表示

ジェット」(Jet)は、1973年ポール・マッカートニー&ウイングスが発表した楽曲、及び1974年にリリースされた同曲を収録したシングルアルバムバンド・オン・ザ・ラン』の2曲目に収録された。またベスト・アルバムでは『ウイングス・グレイテスト・ヒッツ』『オール・ザ・ベスト』『夢の翼〜ヒッツ&ヒストリー〜』『ピュア・マッカートニー〜オール・タイム・ベスト』にも収録されている。

解説[編集]

ポールは元々この曲をはじめ、アルバムからシングル・カットするつもりはなかった[1]。ところがアルバムは発売から2週間以上たっても期待に反して売り上げが伸び悩んだ。レコード会社はこの状況を打破するためにはシングル・カットが必要と考え、ポールも仕方なく承諾した。

ウイングスのシングルでは7枚目、『バンド・オン・ザ・ラン』からは第1弾シングル[2]として1974年1月28日にアメリカで発売されると、2月9日には初登場第69位、3月30日には第7位にまで上昇した。このてこ入れが功を奏し、アルバムは発売から4ヶ月あまりたった4月13日にビルボード誌で第1位を獲得した。年間ランキングは第77位。キャッシュボックス誌では、3月23日付け最高位第5位を獲得し、年間ランキングでは第77位を記録した。一方イギリスでも2月15日に発売されると最高位第7位まで上昇し、アルバムも4月に3週間連続第2位に到達した[3]。日本では「DIATONEポップスベスト10」(FM東京)で1974年の年間洋楽チャート1位となっている。

アルバム収録曲のほとんどは1973年9月にナイジェリアラゴスでほぼ完成させていたが、この曲はロンドンに戻ってから大部分を録音して完成させた[4]。録音中にテープの磁気体が剥がれるというトラブルのために、シンバルの音が少々弱くなっている。さらに、テープの救出のため、コピーをかけたことによって全体の音がしまって聞こえている[5]

タイトルは当時マッカートニー夫妻が飼っていた黒いラブラドール・レトリバーの仔犬の名[6][7]で、歌詞はポールがリンダの父親に会った時の経験が元になっている[8]

この曲はコンサートで演奏される事が多く(主に序盤のメドレーで)、『ウイングスU.S.A.ライヴ!!(Wings Over America)』では「ロック・ショウ」からのメドレー、『ポール・マッカートニー・ライブ!!(Tripping the Live Fantastic)』では「フィギュア・オヴ・エイト」からのメドレーとなっている。

収録曲[編集]

7インチシングル
#タイトル作詞・作曲時間
1.「ジェット」( Jet)
  • ポール・マッカートニー
  • リンダ・マッカートニー
2.「レット・ミー・ロール・イット」(Let Me Roll It)
  • ポール・マッカートニー
  • リンダ・マッカートニー
合計時間:
7インチシングルアメリカ盤1stプレス
#タイトル作詞・作曲時間
1.「ジェット」( Jet)
  • ポール・マッカートニー
  • リンダ・マッカートニー
2.「マムーニア」(Mamunia)
  • ポール・マッカートニー
  • リンダ・マッカートニー
合計時間:

演奏者[編集]

カバー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ アメリカ盤アルバムに収められている「愛しのヘレン」は、新曲だけのアルバムの売れ行きを懸念したレコード会社の強い要請で発売直前になって編入した曲で、アルバムからのシングル・カットには当たらない。
  2. ^ ヨーロッパとオセアニアでは「ミセス・ヴァンデビルト」がシングル・カットされた。
  3. ^ チャートは「ミュージック・ウィーク」での最高位を示す。
  4. ^ 日本のタレント、シルクがロンドン留学中、偶然ポール・マッカートニーに遭遇し、本曲のレコーディングを見学したことを『痛快!明石家電視台』(毎日放送)2011年7月11日放送回出演時に話した。スタジオでの見学中にはリンダ・マッカートニーに紅茶を入れてもらったことや、新聞に「日本から来たラッキーガール2人」と掲載されたと述べた。
  5. ^ ジェフ・エメリック、ハワード・マッセイ『ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実』奥田祐士訳、白夜書房、2006年、545-548ページ
  6. ^ しかし『バンド・オン・ザ・ラン』再発売に際し、2010年イギリスで放送されたテレビ番組にてポールは「ジェットは僕が飼っていたポニーの名」と述べている。
  7. ^ ポールはビートルズ時代にも当時の飼犬マーサをタイトルにした「マーサ・マイ・ディア」を作曲している。
  8. ^ Rowe, Zan (2017年12月6日). “Paul McCartney Takes 5”. 2020年12月8日閲覧。
  9. ^ 少年ナイフ公式サイト内Discography

参考文献[編集]

  • 『Paul McCartney: Recording Sessions (1969-2013)』 Luca Perasi著 出版社:L.I.L.Y. Publishing 2013年10月 ISBN 978-88-909122-1-4
  • 『月刊ザ・ビートルズ臨時増刊号 まるごと1冊ポール・マッカートニー&ウイングス』 ザ・ビートルズクラブ編 出版社:BCC出版 2019年1月 ISBN 978-4-909509-12-3