ショワルター安定指数

ショワルター安定指数(-あんていしすう, : Showalter stability index)は、気象学において、大気の安定度を評価するために用いられる指数である。SSIと略称される場合も多い。日本では一般的に単位が用いられるが、国際的にはKも用いられる。

概要[編集]

SSIの計算法は、まず850hPa面にある空気塊を500hPa面まで強制的に持ち上げた場合の気温 Tp を求める。それにはエマグラム上で850hPa面にある空気の気温と露点から出発して、この空気塊を最初は乾燥断熱減率に沿って持ち上げる。もしこの空気塊が500hPaに到達するまでに飽和に達したら、それ以降は湿潤断熱減率に沿って持ち上げる。こうして500hPa面まで強制的に持ち上げたときのその空気塊の気温が Tp である。この Tp を、実際の大気の500hPa面の気温 T500 から差し引く。その気温差がSSIである。

SSIの値が0℃以下であるという事は、850hPaから強制的に500hPaまで持ち上げてきた空気塊の気温 Tp が、周囲に既にある空気の気温 T500 よりも暖かい事を意味する。それは下から持ち上げてきた空気塊の方が、周囲に既にある空気よりも比重が軽いという事である。したがって、下から持ち上げてきた空気塊は更に上昇を続けられる。つまり大気が不安定である事を意味している。

したがってSSIが0℃以下であれば大気は不安定であることを示し、SSIの値が負の方向に大きな値を持つほど、不安定の程度が強い事を意味し、それは驟雨雷雨の起こりやすい状況である事を示す。理論的には負の値で不安定となるが、実際の大気では対流自身による温度混合や不確定要素があるため、実務的にはそれよりもやや広く幅を取って、「雷雨発生の可能性あり」と判断するしきい値は+2から4℃(場所や時期によって異なる)とすることが多い。

一般的に、SSIは850hPaにおける気温と露点温度の現在値から、現在の大気の安定度を表現する指標であり、混合の少ない大気に向いている。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

  • 大気安定度(SSI) ウェザー・サービス - 日本周辺のSSI値分布図。
  • Numerical Weather Prediction 韓国気象庁 - 東アジア域のSSI値分布図。(Auxiliary Chartを選択すると表示)
  • モダンタイムズ 「雷の知識不足が犠牲者を生んだ「2002年8月2日塩見岳落雷事故」の気象データを読む」

関連項目[編集]