シャリンバイ

シャリンバイ
シャリンバイ(大阪府・2007年5月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : ナシ亜科 Maloideae
: シャリンバイ属 Rhaphiolepis
: モッコクモドキ R. indica[1]
変種 : シャリンバイ var. umbellata
学名
Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. ex Ker var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi[2]
シノニム
和名
シャリンバイ(車輪梅)

シャリンバイ(車輪梅、学名Rhaphiolepis indica var. umbellataシノニムR. umbellata)は、バラ科シャリンバイ属の常緑低木。日本東北地方南部以南)、韓国台湾までの海岸近くに分布する。庭木や公園樹として植栽されることも多い[3]。沖縄の方言ではテカチ[4]、奄美大島ではテーチ木[5]と呼ぶ。和名は枝の分岐する様子が(葉の配列の様子とも)車輪のスポークのようで花がに似ることから。

特徴[編集]

は楕円形で厚く、深緑色でつやがある。縁には浅い鋸歯が出ることもある。多くの場合、枝先に葉が集中する傾向があり、単葉で車輪状に互生する[3]。春から初夏にかけて、新しい葉と入れ替わる形で、下の方の古い葉が赤く色づいて落葉する[6]

4 - 6月に白または淡紅色の5弁の(両性花)をつける[3]。10 - 11月に直径1センチメートル (cm) 程の球形のナシ状果の果実は黒紫色に熟す[3]

海岸に多く、日向の岩の上などに見られる。

用途[編集]

鹿児島県奄美大島大島紬では、シャリンバイの木から葉を取り除いて細かく切り、10時間以上煮出した液を染料として用いる[7]。そのタンニンを含む煎汁を染液として絹糸に染着させた後、分を含む泥田の泥水に浸漬してに後媒染する方法で黒褐色になるまで繰り返し染色する[8]。また、乾燥や大気汚染に強いことから道路脇の分離帯などに植栽されたり、艶のある常緑葉が美しく、良く刈り込みに耐えるため庭木として植栽されたりする。

葉が消炎、潰瘍、打撲(外用)に使用される[9]

材は堅いことから槌等に用いる[10]

分類[編集]

変異が多く、いくつかの変種が報告されているが、それらを認めるかどうかには諸説がある。葉が幅広く倒卵形のものをマルバシャリンバイ、幅の狭いものをタチシャリンバイと言うが、これらについては中間型があって区別しがたい。栽培されているものには国外産のものもあるが、それらの種名も判断が難しいようである。また東南アジアからインドに分布するRhaphiolepis indica の変種ともされる場合がある。

変種[編集]

  • シャリンバイ R. indica (L.) Lindl. ex Ker var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi[2]
  • ホソバシャリンバイ(オキナワシャリンバイ) R. indica (L.) Lindl. ex Ker var. liukiuensis (Koidz.) Kitam.
  • ヒイランシャリンバイ R. indica (L.) Lindl. ex Ker var. shilanensis Yuen P.Yang et H.Y.Liu
  • タカサゴシャリンバイ R. indica (L.) Lindl. ex Ker var. tashiroi Hayata
  • セイスイシャリンバイ R. indica (L.) Lindl. ex Ker f. impressivena (Masam.) S.S.Ying
  • マルバシャリンバイ R. umbellata var. integerrima

種の保全状況評価[編集]

日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[11]

自治体指定の木と花[編集]

以下の自治体の木または花の指定を受けている。山形県鶴岡市の「マルバシャリンバイの自生地」が、1956年(昭和31年)11月24日に県指定文化財天然記念物に指定された[13]

脚注[編集]

  1. ^ Rhaphiolepis indica (L.) Lindl.” (英語). ITIS. 2013年5月25日閲覧。
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “シャリンバイ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2013年5月23日閲覧。
  3. ^ a b c d 樹皮・葉でわかる樹木図鑑(2011)、148頁
  4. ^ 沖縄織物の研究 97ページ
  5. ^ 奄美大島の地域性:大学生が見た島/シマの素顔 p256
  6. ^ 亀田龍吉 2014, p. 37.
  7. ^ 植物 鹿児島県、2020年1月28日閲覧。
  8. ^ 鮫島沙子, 近藤民雄, 渡辺忠雄「大島紬におけるシャリンバイの染色性について(I)」『九州大學農學部學藝雜誌』第30巻第1/2号、九州大學農學部、1975年8月、15-20頁、doi:10.15017/23194hdl:2324/23194ISSN 0368-6264CRID 1390853649767909248 
  9. ^ 和名 学名 新科名 旧科名 効能熊本大学
  10. ^ 名瀨市史資料、第2巻 p77
  11. ^ 日本のレッドデータ検索システム「シャリンバイ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2013年5月25日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  12. ^ レッドデータブックとっとり(植物)” (PDF). 鳥取県. pp. 137 (2002年). 2013年5月25日閲覧。
  13. ^ マルバシャリンバイの自生地”. 山形県. 2013年5月25日閲覧。
  14. ^ 市章・市木・市花・市民憲章”. 奄美市 (2013年3月20日). 2013年5月25日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]