シックス・ネイションズ
シックス・ネイションズ | |
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最新のシーズン・大会: 2024年シックス・ネイションズ・チャンピオンシップ | |
スポーツ | ラグビーユニオン |
創設 | 1883 (ホーム・ネイションズとして) 1910 (ファイブ・ネイションズとして) 2000 (シックス・ネイションズとして) |
チーム数 | 6 |
国 | イングランド スコットランド アイルランド ウェールズ フランス イタリア |
最新優勝 | アイルランド (2024) |
最多優勝 | イングランド (39回) ウェールズ (39回) |
ウェブサイト | https://www.sixnationsrugby.com/en/m6n |
シックス・ネイションズ・チャンピオンシップ(Six Nations Championship、6カ国対抗)は、ヨーロッパの6カ国が参加する国際ラグビーユニオン大会。ビールメーカーギネスが冠スポンサーのため、ギネス・シックス・ネイションズ(Guinness Men's Six Nations)として開催されている。毎年2月から3月にかけて、総当たり戦(各チーム5試合、大会全体では15試合)を行う。次の年はホームとアウェイが入れ替わる。
歴史
[編集]1871年にスコットランドとイングランドの間で、史上初のテストマッチ(国代表チーム同士の正式な対戦)が行われた。次いで1875年にはアイルランド、1881年にはウェールズの代表チームが初めて結成され、それぞれイングランドとの間で最初のテストマッチを戦った。
まもなく、これら4カ国の間では、毎年ほぼ総当たりでテストマッチが行われるようになったため、総合成績によって順位を決めるようになった。1882年から1883年にかけてアイルランド対ウェールズ戦を除くすべてのカードが開催され、イングランドが3戦全勝したのが第1回とされ、大会は「ホーム・ネーションズ・チャンピオンシップ(Home Nations Championship)」と呼ばれた[1][2]。
1910年からフランスが大会に加わり、大会は「ファイブ・ネイションズ(5カ国対抗)」と呼ばれるようになった。フランスはアマチュアリズムに反して選手に報酬を支払ったとされたため、1932年に大会から除外され、4カ国による開催「ホーム・ネーションズ・チャンピオンシップ」に戻った。
1940年から第二次世界大戦のため中止。1947年に再開され、同時にフランスも復帰し「ファイブ・ネイションズ(5カ国対抗)」に戻った。
2000年からイタリアの参加にともない、現在の大会名「シックス・ネイションズ」に変更された。2000年大会の第1試合に出場したイタリア代表1番(左プロップ)の選手マッシモ・クッティッタ[3]は、後の活躍などを経て、2022年創設のクッティッタ・カップの由来となった[4][5][6]。
2019年からギネスがタイトルパートナーとなり、「ギネス・シックス・ネイションズ(GUINNESS Six Nations)」と冠名がつく。女子大会は2024年から[7]。
2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響で例年の3月までに終了できず、第4節の1試合「アイルランドvsイタリア」と、第5節(最終節)の全試合「ウェールズvsスコットランド」、「イタリアvsイングランド」、「フランスvsアイルランド」が延期され、10月に実施された[8][9]。
賞・トロフィー
[編集]優勝
[編集]総当たり戦(各チーム5試合ずつ、大会合計15試合)により、勝ち点で順位を決め、優勝チームにはトロフィーが授与される[10]。トロフィーは2016年大会から刷新された。高さ75cm、側面は6つの面でデザインされ、7kgの銀が使われている[10]。
グランドスラムとトリプルクラウン
[編集]- 全勝優勝をグランドスラム(Grand Slam)という。ホーム・ネイションズ(イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズ)4国の中での全勝(3勝)をトリプルクラウン(Triple Crown)と呼ぶ。試合が同点の場合は引き分けとなり、勝利に含めない。
- グランドスラムとトリプルクラウンにはトロフィーなどの授与・表彰は無く、その栄誉をたたえられるだけである。
ウドゥン・スプーン
[編集]- 最下位チーム、および 最下位チーム賞を、ウドゥン・スプーン(Wooden Spoon、木のスプーン)という。この不名誉な称号で呼ばれるだけで、実際に木のスプーンやトロフィー類を授与されるわけではない。イギリスの言い伝え「貧乏な家の子供は木のスプーンをくわえて生まれてくる」にちなむ[11][12]。
- 6か国参加となった2000年から2024年までの25回のうち、イタリア18回、スコットランド4回、ウェールズ2回、フランスが1回、ウドゥン・スプーンとなった。
2国間トロフィー(Rivalry Trophies)
[編集]- シックス・ネイションズの対戦の中には、2国間で争われるトロフィーがあり、ライバルトロフィーという意味で、英語では「Rivalry Trophies」という[13]。2022年に新設の「クッティッタ・カップ(Cuttitta Cup)」で、7つになった。
- 勝ったチームには、それぞれ特徴のある形のトロフィー(カップ)が授与される[14]。同点で試合が終了した場合は引き分けとなり、その年の勝者は不在となる。
- スコットランドにとっては、5試合すべて、2国間トロフィーをかけた対戦である。
トロフィー | 対戦するチーム | 創設年 | 由来 |
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カルカッタカップ (英)Calcutta Cup | イングランド スコットランド | 1879 | 1878年に解散したインドのチーム「カルカッタ・フットボール・クラブ」が、保有していたルピー銀貨を溶かしてカップを作り、イングランドラグビー協会に寄贈したことに由来する[15]。キングコブラの形をした3つの取っ手がカップについている[16][17]。 |
ミレニアム・トロフィー (英)Millennium Trophy | アイルランド イングランド | 1988 | 988年のヴァイキングによるアイルランド・ダブリンへの入植1000周年を記念[18]。トロフィーは、ヴァイキングのヘルメットの形をしている[19]。 |
センテナリー・クウェイク (英)Centenary Quaich | アイルランド スコットランド | 1989 | クウェイクは、スコットランド伝統の「左右に取っ手がついた浅い酒杯」。国際ラグビーフットボール評議会(IRFB)創立100周年を機に創立された賞[20][21][22]。授与されるカップも、クウェイクの形[23][24]。 |
ジュゼッペ・ガリバルディ・トロフィー (英)Giuseppe Garibaldi Trophy (伊)Trofeo Giuseppe Garibaldi (仏)Trophée Giuseppe-Garibaldi | イタリア フランス | 2007 | フランスで生まれ、普仏戦争中にフランス陸軍の将軍として戦い、後にイタリア王国成立を果たしたイタリアの革命家であるジュゼッペ・ガリバルディの生誕200年を記念[25][26]。黒い棒で円を描いた形のトロフィーを授与する[27]。 |
オールドアライアンストロフィー (英)Auld Alliance Trophy (仏)Trophée Auld Alliance | スコットランド フランス | 2018 | 両国の代表選手が数多く命を落とした第一次世界大戦の終結から100年を記念。「オールドアライアンス」は、13世紀から16世紀にかけてスコットランドとフランスで締結されていた「オールド同盟(Auld Alliance)」にちなんでいる[14]。 |
ドッディ・ウィアーカップ (英)Doddie Weir Cup | スコットランド ウェールズ | 2018 | 運動ニューロン病を患っていることを公表し、運動ニューロン病患者とその家族をサポートする基金を立ち上げた元スコットランド代表選手のドッディ・ウィアーを記念し創設された[14]。 |
クッティッタ・カップ (英・伊)Cuttitta Cup | イタリア スコットランド | 2022 | イタリア代表キャプテンとスコットランド代表スクラムコーチを務め、2021年に54歳で新型コロナウイルス感染症で死去したマッシモ・クッティッタを記念し創設された[14]。トロフィーの左右の持ち手は、それぞれ1番プロップ、3番プロップの各選手が頭を下げてスクラムを組んでいる形をなしている[28][29]。 |
会場
[編集]2024年の大会では次の会場で開催された。フランスで例年使用している スタッド・ド・フランス(サン=ドニ)は、2024年パリオリンピックの準備のため使用できなかった。
チーム | スタジアム | 場所 | 収容人数 |
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イングランド | トゥイッケナム・スタジアム | ロンドン | 82,000 |
フランス | パルク・オリンピック・リヨン | リヨン | 59,186 |
スタッド・ピエール=モーロワ | リール | 50,186 | |
スタッド・ヴェロドローム | マルセイユ | 67,394 | |
ウェールズ | ミレニアム・スタジアム | カーディフ | 73,931 |
イタリア | スタディオ・オリンピコ | ローマ | 72,698 |
スコットランド | マレーフィールド・スタジアム | エディンバラ | 67,144 |
アイルランド | アビバ・スタジアム | ダブリン | 51,700 |
結果
[編集]全期間
[編集]2024年3月17日現在
イングランド | フランス | アイルランド | イタリア | スコットランド | ウェールズ | |
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試合数 | 130 | 97 | 132 | 27 | 132 | 132 |
単独優勝 (カッコ内は同時優勝) | ||||||
ホーム・ネイションズ | 5 (4) | — | 4 (4) | — | 10 (3) | 7 (4) |
ファイブ・ネイションズ | 17 (6) | 12 (8) | 6 (5) | — | 5 (6) | 15 (8) |
シックス・ネイションズ | 7 | 6 | 6 | 0 | 0 | 6 |
合計 | 29 (10) | 18 (8) | 16 (9) | 0 (0) | 15 (9) | 28 (12) |
グランドスラム(全勝優勝) | ||||||
ホーム・ネイションズ | 0 | — | 0 | — | 0 | 2 |
ファイブ・ネイションズ | 11 | 6 | 1 | — | 3 | 6 |
シックス・ネイションズ | 2 | 4 | 3 | 0 | 0 | 4 |
合計 | 14 | 10 | 4 | 0 | 3 | 12 |
トリプルクラウン(ホーム・ネーションズ(英4か国)中での全勝) | ||||||
ホーム・ネイションズ | 5 | — | 2 | — | 7 | 6 |
ファイブ・ネイションズ | 16 | — | 4 | — | 3 | 11 |
シックス・ネイションズ | 5 | — | 7 | — | 0 | 5 |
合計 | 26 | — | 13 | — | 10 | 22 |
ウドゥン・スプーン(最下位チーム賞) | ||||||
ホーム・ネイションズ | 7 | — | 10 | — | 5 | 6 |
ファイブ・ネイションズ | 10 | 12 | 15 | — | 15 | 10 |
シックス・ネイションズ | 0 | 1 | 0 | 17 | 4 | 1 |
合計 | 17 | 13 | 25 | 18 | 24 | 17 |
ホーム・ネイションズ (1883–1909)
[編集]開催 | 優勝 | グランドスラム | トリプルクラウン | カルカッタカップ |
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1883 | イングランド | 争われず | イングランド | イングランド |
1884 | イングランド | イングランド | イングランド | |
1885 | 決定できず | 決定できず | ||
1886 | イングランド スコットランド | なし | 引き分け | |
1887 | スコットランド | なし | 引き分け | |
1888 | 決定できず | イングランド不参加 | ||
1889 | 決定できず | イングランド不参加 | ||
1890 | イングランド スコットランド | なし | イングランド | |
1891 | スコットランド | スコットランド | スコットランド | |
1892 | イングランド | イングランド | イングランド | |
1893 | ウェールズ | ウェールズ | スコットランド | |
1894 | アイルランド | アイルランド | スコットランド | |
1895 | スコットランド | スコットランド | スコットランド | |
1896 | アイルランド | なし | スコットランド | |
1897 | 決定できず | 決定できず | イングランド | |
1898 | 決定できず | 決定できず | 引き分け | |
1899 | アイルランド | アイルランド | スコットランド | |
1900 | ウェールズ | ウェールズ | 引き分け | |
1901 | スコットランド | スコットランド | スコットランド | |
1902 | ウェールズ | ウェールズ | イングランド | |
1903 | スコットランド | スコットランド | スコットランド | |
1904 | スコットランド | なし | スコットランド | |
1905 | ウェールズ | ウェールズ | スコットランド | |
1906 | アイルランド ウェールズ | なし | イングランド | |
1907 | スコットランド | スコットランド | スコットランド | |
1908 | ウェールズ | ウェールズ | ウェールズ | スコットランド |
1909 | ウェールズ | ウェールズ | ウェールズ | スコットランド |
開催 | 優勝 | グランドスラム | トリプルクラウン | カルカッタカップ |
ファイブ・ネイションズ (1910–1931)
[編集]開催 | 優勝 | グランドスラム | トリプルクラウン | カルカッタカップ |
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1910 | イングランド | なし | なし | イングランド |
1911 | ウェールズ | ウェールズ | ウェールズ | イングランド |
1912 | アイルランド イングランド | なし | なし | スコットランド |
1913 | イングランド | イングランド | イングランド | イングランド |
1914 | イングランド | イングランド | イングランド | イングランド |
1915–19 | 第一次世界大戦のため不開催 | |||
1920 | スコットランド ウェールズ イングランド | なし | なし | イングランド |
1921 | イングランド | イングランド | イングランド | イングランド |
1922 | ウェールズ | なし | なし | イングランド |
1923 | イングランド | イングランド | イングランド | イングランド |
1924 | イングランド | イングランド | イングランド | イングランド |
1925 | スコットランド | スコットランド | スコットランド | スコットランド |
1926 | アイルランド スコットランド | なし | なし | スコットランド |
1927 | アイルランド スコットランド | なし | なし | スコットランド |
1928 | イングランド | イングランド | イングランド | イングランド |
1929 | スコットランド | なし | なし | スコットランド |
1930 | イングランド | なし | なし | 引き分け |
1931 | ウェールズ | なし | なし | スコットランド |
開催 | 優勝 | グランドスラム | トリプルクラウン | カルカッタカップ |
ホーム・ネイションズ (1932–1939)
[編集]この期間はフランスが抜けてホーム4国のみとなったため、全勝優勝「グランドスラム」は、3か国に勝利の「トリプルクラウン」と同じ意味となり、グランドスラムを設置していない。
開催 | 優勝 | グランドスラム | トリプルクラウン | カルカッタカップ |
---|---|---|---|---|
1932 | イングランド アイルランド ウェールズ | – | なし | イングランド |
1933 | スコットランド | – | スコットランド | スコットランド |
1934 | イングランド | – | イングランド | イングランド |
1935 | アイルランド | – | なし | スコットランド |
1936 | ウェールズ | – | なし | イングランド |
1937 | イングランド | – | イングランド | イングランド |
1938 | スコットランド | – | スコットランド | スコットランド |
1939 | イングランド, アイルランド, ウェールズ | – | なし | イングランド |
開催 | 優勝 | グランドスラム | トリプルクラウン | カルカッタカップ |
1940–46 | 第二次世界大戦のため不開催 |