オイミャコン

Оймяконの位置(ロシア内)
Оймякон
Оймякон
オイミャコンの位置
オイミャコンの住宅街

オイミャコンロシア語Оймяконサハ語Өймөкөөн、エイメケーン、Öymököön)はロシアサハ共和国の北東のオイミャコン地区インディギルカ川の約2km西、北極圏のわずかに南に位置する

厳寒の村[編集]

「世界で最も寒い定住地」とされ、一年の半分以上が冬である[1]。人口462人(2010年)。標高740m。周囲にはインディギルカ川の準平原が広がり、川自体の流路も網の目状に迷走している。川から数km離れると、浸食が進み老年期に達したなだらかな山地(丘陵地帯)が広がる。

1926年1月26日、-71.2°C気温が記録された(ただしこの測定法には議論がある)ことで、オイミャコンは北半球の寒極や「北の極寒の地」、定住地の中で最も寒い地の一つとして知られることとなった。同時にこれは北半球の記録でもっとも寒い気温である(南半球南極大陸で記録されている)。これはシベリア大地によって大気が大幅に冷却されることが大きく作用している。逆に夏の日中は気温が摂氏30度を越えることもあり、夏と冬、昼夜の気温差が極端に大きい地でもある。7月でも稀に0°Cを下回ることがある。2010年7月28日には最高気温が34.6°Cに達し、それまでの記録を塗り替えた。年平均気温は-14.9°C2018年1月17日には正式に氷点下65度を記録。氷点下60度を超えている日が連続した[2][3]

凍結してしまうため、オイミャコンには水道が無い。そのため、かつては住民が牛や馬にタンクを引かせて近くの川まで水を汲みに行っていたが、現在では給水車が各家庭に給水を行っている。宿泊施設は元教師である女性の自宅の一部を改造したゲストハウスのみである[4]

付近では魚が獲れるが、気温が低い時、釣った魚は外気に触れた途端に凍りつく。冬は軒並み-50.0°C以下になるため、細菌ウイルスによる感染症にかかることはほぼ皆無である。

しかし、2019年に勃発して以降、2022年2月現在も終息していない新型コロナウイルスは気温の高低に関係なく活発に活動するらしく、この地においても多数の感染者・死者を出している。

語源[編集]

オイミャコンの語源は言い伝えによれば、エヴェン語で「kheium」(不凍の水、魚が冬を過ごす場所)という意味であるが[5]ツングース語によれば「heyum(hэjум)」(凍った湖)という意味であり、kheiumはスペルミスであった可能性が考えられている[6][7]。これはこの地が永久凍土であるにもかかわらず、天然の温泉が近くに湧いているからである[7]

気候[編集]

オイミャコン(1991 - 2020)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F −16.6
(2.1)
−12.5
(9.5)
2.0
(35.6)
11.7
(53.1)
26.2
(79.2)
31.1
(88)
34.6
(94.3)
32.9
(91.2)
23.7
(74.7)
11.0
(51.8)
−2.1
(28.2)
−6
(21)
34.6
(94.3)
平均最高気温 °C°F −42.1
(−43.8)
−35.8
(−32.4)
−19.8
(−3.6)
−3
(27)
9.7
(49.5)
20.0
(68)
23.0
(73.4)
18.5
(65.3)
9.1
(48.4)
−8.3
(17.1)
−30.2
(−22.4)
−41.9
(−43.4)
−8.4
(16.9)
日平均気温 °C°F −45.7
(−50.3)
−42.2
(−44)
−30.2
(−22.4)
−12.7
(9.1)
3.5
(38.3)
12.7
(54.9)
15.3
(59.5)
10.8
(51.4)
2.5
(36.5)
−13.8
(7.2)
−34.4
(−29.9)
−45
(−49)
−14.9
(5.2)
平均最低気温 °C°F −49.3
(−56.7)
−47.6
(−53.7)
−39.2
(−38.6)
−22.9
(−9.2)
−3.5
(25.7)
4.4
(39.9)
6.9
(44.4)
3.2
(37.8)
−3.3
(26.1)
−19.2
(−2.6)
−38.8
(−37.8)
−48.3
(−54.9)
−21.5
(−6.7)
最低気温記録 °C°F −65.4
(−85.7)
−67.7
(−89.9)
−60.6
(−77.1)
−46.4
(−51.5)
−28.9
(−20)
−9.7
(14.5)
−9.3
(15.3)
−13.2
(8.2)
−25.3
(−13.5)
−47.6
(−53.7)
−58.5
(−73.3)
−62.8
(−81)
−67.7
(−89.9)
降水量 mm (inch) 6.3
(0.248)
6.7
(0.264)
5.3
(0.209)
5.4
(0.213)
15.0
(0.591)
38.9
(1.531)
45.6
(1.795)
38.3
(1.508)
24.4
(0.961)
13.4
(0.528)
12.6
(0.496)
7.0
(0.276)
218.9
(8.62)
平均降水日数 (≥1.0 mm) 3.0 2.6 1.4 1.8 3.2 6.6 8.7 7.7 5.1 4.9 4.0 3.0 52
平均降雪日数 23 21 16 10 4 0 0 0 4 20 23 20 141
湿度 75 74 72 68 60 59 65 70 73 79 77 74 70.5
平均月間日照時間 28 118 244 284 282 304 298 236 151 113 58 13 2,129
出典1:Погода и Климат,[8]February record low[9][10]
出典2:NOAA(precipitation days and sunshine hours)[11]

最多降雨月の降雨量が最少降雨月の降雨量の10倍に満たず、Dfd気候に属する。

2013年2月のオイミャコン近郊の風景

脚注[編集]

  1. ^ ロシアの「世界で最も寒い定住地」、1年の半分以上が冬 ロイター 2013年2月19日
  2. ^ 外部リンク
  3. ^ 外部リンク
  4. ^ 世界一寒い村!ロシアオイミャコンの暮らしとは?”. travel book. 2022年12月25日閲覧。
  5. ^ Pospelov, Evgeniy Mikhaylovich (1998) (Russian). Moscow 
  6. ^ Tsintsius, V. I. (1977) (Russian), 2, Leningrad: Nauka, p. 361 
  7. ^ a b ロシアで最も寒い場所!?Оймякон(オイミャコン)
  8. ^ Погода и Климат - Климат Оймякона”. Pogodaiklimat.ru. 2017年2月16日閲覧。
  9. ^ Asia: Lowest Temperature”. WMO. 2010年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年6月19日閲覧。
  10. ^ Погода в Оймяконе. Температура воздуха и осадки. Февраль 2014 г.”. Pogodaiklimat.ru. 2014年2月10日閲覧。
  11. ^ Ojmjakon Climate Normals 1961–1990”. National Oceanic and Atmospheric Administration. 2015年2月17日閲覧。

外部リンク[編集]

座標: 北緯63度15分 東経143度9分 / 北緯63.250度 東経143.150度 / 63.250; 143.150