初霜
初霜(はつしも)とは、その年の秋から冬にかけて最初に降りる霜のこと。あるいは、その霜が降りた日(霜の初日)のこと。
概要[編集]
1981 - 2010年の平均では、旭川は10月8日、札幌は10月25日、仙台は11月10日、東京は12月20日、名古屋は11月27日、京都は11月18日、大阪は12月5日、福岡は12月12日頃。地域により時期に大きな差があるが、最低気温の低さと相関性が高く、平均気温が同じ地点で比較すれば、沿岸よりも朝の冷え込みが厳しい内陸や高地の方が早い。1941 - 1970年の平年値分布図では、北海道道央から道東にかけての高地で9月、北海道や北東北の大部分、南東北から飛騨山脈にかけての内陸、中国山地や九州山地の一部で10月、その他の九州以北の大部分で11月、九州から房総半島にかけての南岸や西岸で部分的に12月となっている。
目安としては晴れて風の穏やかな放射冷却の強い朝で最低気温が5 - 6°C程度とされ、この気温のとき地表面温度がちょうど0°C前後となり霜が降り始める。ただ、雨や雪が降っているとき、湿度が低く地表面でも露点に達しないとき、風が強く大気がかき混ぜられて気温が下がりにくいときなどは、霜が降りないことがある。霜は農作物に凍霜害を引き起こすため、初霜の時期は霜への対策を始める目安となる。
日本の多くの地域では、初霜のあと初雪が訪れることが多いが、初雪の方が早い場合もある。なお1981 - 2010年の平均では、新潟、金沢、神戸、広島では初雪の方が僅かに早く、稚内では16日、下関では29日、それぞれ初雪の方が早い。また同様に初霜より初氷のほうが遅いが、例外がある。
都市化によるヒートアイランド現象と地球温暖化の影響で、近年は遅くなる傾向にある。東京における変化を見ると、1930年代までは11月中心で12月の観測例は皆無、10月下旬の初霜も見られたが、1970年代後半から12月中心となり、1月にまでずれ込む年が出始める。1988 - 1989年冬の11月27日を最後に、11月の初霜は観測されていない。また1994 - 1995年冬は2月6日と、異常な遅さだった。
なお、ベンケイソウ科の多肉植物、Graptopetalum paraguayenseは「初霜」の園芸名で古くから日本で栽培されてきた。グラプトペタルム参照。
平年値[編集]
過去の初霜[編集]
- 北海道
- 北海道内の観測官署で最も早い初霜は札幌で1888年9月9日(1877年統計開始)、最も遅い初霜は室蘭で1965年12月21日(1924年統計開始)[1]。
- 札幌で最も早い初霜は1888年9月9日、最も遅い初霜は2005年11月15日(1877年統計開始)。
- 東北地方
- 仙台で最も早い初霜は1944年10月3日、最も遅い初霜は2004年12月3日(1927年統計開始)[2]。
- 関東地方
- 東京で最も早い初霜は1909年と1937年の10月21日(1876年10月統計開始)、最も遅い初霜は1995年の2月6日[3]。
- 東海地方
- 名古屋で最も早い初霜は1899年10月13日、最も遅い初霜は2004年12月18日(1891年統計開始)[4]。
- 九州地方
- 福岡で最も早い初霜は1903年10月21日、最も遅い初霜は2005年1月21日(1932年統計開始)[5]。
脚注[編集]
- ^ 北海道の雪・霜・結氷・冠雪・積雪・長期積雪(根雪)の初終日の初日、終日の観測状況 札幌管区気象台、2019年11月11日閲覧。
- ^ 東北地方の季節現象(さくら、梅雨、初霜、初氷、初雪、初冠雪)(仙台管区気象台)の「冬の季節現象」からリンクされる各気象台のサイト、2019年11月11日閲覧。
- ^ 東京における気象の記録 気象庁調べ、2019年11月11日閲覧。
- ^ 2000年からの季節現象観測の記録 名古屋地方気象台、2021年10月12日閲覧。
- ^ 季節現象観測状況 福岡管区気象台、2019年11月11日閲覧。
外部リンク[編集]
- 寒候期現象の平年値(1981〜2010年統計値) - 札幌管区気象台(北海道)内の気象官署の初霜・終霜などの統計。
- 東京の初霜、終霜 - 東京(千代田区大手町・気象庁)における初霜・終霜の統計。1876年からで、途中で観測場所の変更がある事に留意。
- 都道府県別 初霜・初雪などの平年値
- 国土地理院 日本国勢地図帳(1977年) 霜の初日および終日の等日線図 1941-1970年(pdf)